おやじの入門

透明水彩を始めたいオヤジには、12色と筆1本で最初の1枚を描くのが正解だと伝えたい

透明水彩を始めたいオヤジは、最初から24色セットと筆の大群をそろえなくてよい。12色程度、筆1本、水彩紙、パレットで身近な物を1枚描き、道具を増やすのはその後でよい。

筆一本と透明水彩の絵具を置いた白い紙の机上風景

透明水彩を始めたいオヤジに読んでほしい。24色セットを買った瞬間、絵より先に収納場所の問題が完成する。最初に目指すのは【12色+筆1本で最初の1枚】を描き切ることだ。上手な風景画でも、複雑な人物画でもない。机の上のカップ、果物、葉のついた小さな枝など、形が分かる物を一つ選び、水の量と色の薄さを試す。完成度より、紙の上で色が乾くまでを見届けることを最初の成功にする。

透明水彩は紙を生かして描く絵具

透明水彩は、絵具の色を不透明に塗りつぶすというより、水で薄めた色を重ね、紙の白さや下の色を生かして見せる画材である。ホルベインの初心者向け解説でも、透明水彩は紙や下に置いた色が透けて見える特徴を持つと説明されている。アクリル絵具のように乾いた後も厚く隠す描き方とは、最初から考え方が異なる。

この特徴を知ると、最初の一枚で白い部分を無理に白く塗ろうとしなくてよい理由が分かる。紙を残したい場所を先に決め、色を置かない部分を大切にする。色を間違えたら上から同じ色を重ねて消すのではなく、いったん乾かし、薄い色を追加する。透明水彩は、足す技術だけでなく、残す判断も含む画材である。

最初の道具は四つに絞る

最初に用意するのは、絵具、筆、水彩紙、パレットの四つでよい。水入れや布、鉛筆などは家にある物で代用できる。絵具は12色程度を基本にし、筆はまず一本に絞る。色数や筆の本数は流派や描きたい題材によって変わるが、始めたばかりなら「どれを使うか迷う時間」を減らすことに意味がある。

12色あれば、混ぜて中間色を作れる。緑の絵具をそのまま使うのではなく、青に黄色を少し加えて明るさを変える。茶色に赤や青を少量混ぜれば、木の影や陶器の色を調整できる。色を増やす前に、手元の色を混ぜて目的の色に近づける経験を積むほうが、色の見方が育ちやすい。

筆は、丸筆など水を含ませやすい一本から始めると扱いやすい。極細、平筆、広い面用の大きな筆を最初から買いそろえる必要はない。一本で線、点、面を試し、筆先を使うのか腹を使うのかを覚える。一本で不便を感じたとき、その不便が次に買う筆の理由になる。

普通の紙ではなく水彩紙を使う

紙は、水を含んでも波打ちにくい水彩紙を選ぶ。コピー用紙は線の練習には使えるが、水を重ねる本番用には向きにくい。紙が水を吸わず、乾く前に毛羽立ったり、表面が傷んだりすると、絵具の扱いより紙の問題に悩むことになる。

最初の一枚は、大きな紙を全面使わなくてよい。小さめの水彩紙を用意し、中央に題材を置く。紙の端まで描こうとすると、最初から構図や余白に気を取られる。紙の白い部分を残したまま終える練習も、透明水彩の基本になる。

紙を固定するために、四隅を弱いテープで机に留める方法もある。強く貼りすぎると紙を傷めるため、紙の種類に合わせて試す。乾燥中に紙が少し反っても、最初の一枚では失敗と決めつけない。水の量を記録し、次の一枚で調整する材料にすればよい。

最初の題材は身近な物でよい

題材は、形が単純で色を観察しやすい物を選ぶ。白いカップなら、白い絵具を塗るのではなく、影の青や灰色を見つける練習になる。りんごなら、赤の濃淡と丸い形の影を試せる。葉なら、緑一色ではなく、光が当たる部分と重なった部分の違いを見られる。

最初から美しい風景を描こうとすると、空、建物、木、地面を同時に扱うことになる。何がうまくいかなかったのか分かりにくい。身近な物を一つに絞れば、色、水、輪郭、影のどこで迷ったかを後から確認できる。

描く前に、題材を鉛筆で薄く囲む。輪郭を濃く描くと線が主役になりやすいため、色を置く場所の目印程度にする。光が当たっている場所、最も暗い場所、床に落ちる影の三つを観察し、すべてを描かずに特徴を一つ残す。似ているかより、どこを見て描いたかを説明できることが大切である。

一枚目は三段階で塗る

最初は、紙の端に絵具を少量出し、水で薄めて色を試す。濃い色をいきなり題材へ置かず、薄い色を広げる。水が多すぎると紙の上で色が流れ、少なすぎると筆跡が強く残る。正解の水量を先に暗記するより、筆を紙に置いたときの広がりを見る。

一段階目は、題材の大きな色を薄く置く。白い部分や光の部分は紙を残す。二段階目は、乾いてから影や重なりを加える。濡れたまま重ねると色が混ざりすぎるため、触りたくなっても乾く時間を待つ。三段階目は、最後に一番暗い部分を少量だけ置く。最初から暗くしないことが、透明感を残すポイントになる。

乾燥を待つ間は、使った色を紙の端に小さく塗っておく。水を多く含ませた色、少しだけ水を加えた色、乾いた後の色を比べれば、次の一枚で調整しやすい。色見本を残すと、同じ12色でも混ぜ方で印象が変わることが分かる。

うまくいかないときの直し方

色が濃くなりすぎた場合は、乾いた後にきれいな水を含ませた筆で表面を軽くなぞり、布やティッシュで水分を取る方法がある。ただし、紙の表面をこすると傷む。何度も直そうとせず、失敗した部分を影や背景の一部として残す判断も必要である。

輪郭がぼやけた場合は、すぐに細い筆を買う前に、筆の水分を少し減らして線を試す。水が多いと線は広がる。筆先を整え、紙を回しながら描くと、同じ一本でも細い線を置きやすくなる。筆を増やすのは、一本で試しても解決しない不便が見えてからでよい。

色がにごった場合は、何色も重ねすぎた可能性がある。混ぜる色を二色程度にし、乾く時間を取る。パレットの中で色を混ぜすぎず、紙の上で薄い層を重ねるほうが、透明水彩らしい変化を残しやすい。

道具を増やすのは一枚描いた後

最初の一枚を描いた後に、困ったことを三つ書き出す。広い面を塗りにくかった、細い線を出せなかった、紙が波打ったなど、具体的な不便に変える。そこから大きい筆、細い筆、別の紙、絵具の追加を選ぶ。困り事がないのに道具を増やすと、選択肢が増えただけで描く時間が減る。

絵具を増やす場合も、欲しい色の名前だけで決めず、手持ちの12色で混ぜられない理由を確認する。筆を増やす場合は、一本のどの動作が足りないかを考える。水彩紙を変える場合は、水の量や乾燥時間との相性を比べる。買い足しは、上達の証明ではなく、次に試したい描き方のための道具である。

まとめ

透明水彩は、最初から多くの色や筆を持つほど始めやすくなる趣味ではない。12色程度の絵具、筆一本、水彩紙、パレットを用意し、身近な物を一枚描く。紙の白さを残し、薄い色から重ね、乾く時間を待つ。その過程で不便が見えたら、初めて道具を追加すればよい。

一枚目は、飾るための完成品でなくてもよい。水の量を間違えた場所、残せた白、思ったよりきれいに混ざった色があれば、十分に次へつながる。静かな家趣味を始めたいオヤジほど、買い物の計画ではなく、紙の上に最初の一筆を残すことから始めたい。私の場合、絵を描く前に道具を拭いて満足する危険がある。

参考情報

Codexへの注意事項

  • 12色と筆1本は初心者向けの編集上の提案であり、特定ブランドだけが正解とは表現しない。
  • 商品名、価格、在庫、紙や筆の仕様は公開前に再確認する。
  • 画像は特定ブランドの広告や商品レビュー素材として扱わない。